昭和33年に父が始めた地域医療を平成7年からそのまま引き継ぎ、現在自分流の地域医療を進めています。
私が小学校の頃から知っているおばちゃんやおじちゃん達とのお付き合いが現在も続いています。毎日夜遅くまで外で子供の帰りを待っているお年寄りに声を掛けると、「あ、しろちゃんかな、良かった・・・」と昔の記憶が戻り穏やかに会話が始まります。
夏祭りや敬老会では医師と患者さんの関係ではなく、盛り上げ役の仲間として参加させてもらっています。毎回笑い転げる出し物があり、認知症の進んだおばちゃんが昨年の出し物の事を思い出して楽しく話します。そして次の夏祭りや敬老会にまた参加したいと話します。
楽しく生きる目標こそが、地域にとって必要な作業療法ではないかと考えています。地域では常にボケとツッコミがあり、亡くなった後もその記憶は生き続けその話題でみんな笑い転げています。
過去の出来事を思い出すことが脳の活性化に、大きい声を出して笑うことや話すことが口腔ケアに、次の敬老会の準備が手足のリハビリにつながることになります。子供たちや孫たちも応援します。そして、多くの思い出や足跡を残して涙と笑いに包まれたお通夜になります。
本人だけの、今だけの作業療法ではなく、地域丸ごとモチベーションを高め、継続する地域における作業療法を、これからも自分流で進めて行こうと思っています。