在宅医療の経験から〜人生をサポートする医療のあり方を考える〜

病気を治す医療から人生をサポートする医療に、いま、私達は進化しようとしている。

自分の人生に関る病気なのに難しい医療用語で説明されると、「高学歴のお医者さんの言うことだから・・」と多くの患者さんや家族は判断を主治医に委ねていないだろうか。

医師、患者、家族みんなが、病気を起こしている細胞レベルの世界に捕まってはいないだろうか。「生まれたら必ず死ぬ」と言う至極当たり前の現実の中で起きている一事象であることを私達は理解しているだろうか。

患者さんが自分の人生を如何に生きるかを考えていても、医師の一般的価値観に押し流されていないだろうか。患者が自分の価値観で決められる空気がそこにあるだろうか。

生きて来た道程、これからの目標、価値観、家族構成、生活環境、経済力、年齢、体力、病状により選択肢は様々。医師が病状と治療法、副作用を説明した後、「本当はどうしたいのですか」と本音を聞き出す場が必要だろう。

説明力、理解力の問題と動揺や混乱もあるため、時間と場所を変えて再確認する必要があるだろう。その先に、本人の決断を尊重した「人生をサポートする医療」があるのではないだろうか。

しかし、多くの患者さんを診る医療現場での実現は困難。一医療機関でできる問題ではない。患者家族を中心とした数多くの病診連携により可能になるのではないだろうか。

180122在宅医療の経験から(PDFファイル)