お年寄りの食事に対する不満を外来でよく耳にする。「硬いと言ったのにまた同じものが出ている」「私はこれ苦手なのにまた出ている」などなど。
以前「かあさんの家」での食事の話の中で、食事を作るまな板の音が聞こえ「今日はお隣からこんな野菜をもらったのでこれで夕食を作ろうと思うんですけど、これ食べられそうですか?」と利用者さんとの会話の中で本人に合わせた食事が準備されると言うのを聞いたことがある。
子供の頃、母親が食事を作る隣の部屋で本を読んだりテレビを観たりしていると「これ食べてみて」とか「これを混ぜるの手伝って」と言われながら食事の準備をしたことを覚えている。
ターミナルの患者さんが家に帰ると、入院中の主治医が予測した予後よりも長生きするケースが多いようだ。ターミナルでないお年寄りも同じかも知れない。
自分の存在を意識してもらい、自分の好みや体調に合わせる会話があり、共に生きているという空気がお年寄りを癒してくれるのかもしれない。