施設の災害対策について

特別養護老人ホームの嘱託医をしている。3.11以降、特別養護老人ホームの入所者をどのように避難させようかと関係者と検討している。

海岸に近い松林の中にあり、海抜4mしかない。建物は鉄筋コンクリートだが平屋建てだ。静かで、空気も良く環境はすばらしい。しかし、道は狭く曲がりくねっている。入所者はスタッフの人数より多い。 津波は最大で15mと言われている。

上に逃げるのか、高台まで横方向へ逃げるのか、方舟方式・漂流型カプセルに逃げ込むかなど、いろいろ考えるが結論が出ない。宮崎は海岸線が長く、平野が広いため高齢者を連れて高台まで迅速に逃げるのは困難な状況にある。施設内での移動も大変だ。

寝たきりの高齢者を少ないスタッフでどのように迅速に移動させるか、以前から個人的に検討して来た。これまでに布担架(リーフ)や背負子(さちっこキャリー)を開発したが、避難時にどのように活用できるかこれからの検証が必要だ。地域に大型トラックを避難用に出しますという人もいるが、道路拡幅の工事が必要だ。また、荷台の高いトラックよりも座席を外した路線バスにスロープをつけて、車イスごと乗り込み、マットを敷いた床にお年寄りを寝かせて移動する方が現実的かも知れない。県や市の行政と協議しているが、超えなければならないハードルが多い。