HIDAKAリーフキャリー「僕が君の足になるよ」

38年前の夏、脳性まひの交流キャンプで私と同じ年の脳性まひの男性に出会ました。彼は積極的にいろいろな会に参加していました。その後、車イスのまま乗車できる車を使ってハンディーキャブ運営委員会を一緒に立ち上げました。

残念ながら長崎大水害で肝心の車が流されました。障害者をおんぶして泥水の中を逃げ回り、皆無事に避難できました。その後絆が深まり、長崎市内を一望できる岩屋山にみんなで登ろうという話になりました。

しかし、積極的な彼もさすがに無理だろうと考えてしまい「今回は遠慮するよ」と言うのです。その時「僕が君の足になるよ」と言ったことを覚えています。その時から背負子研究が始まりました。バイクで車の解体屋を探しシートベルトを数多く集め、そのシートベルトを使い背負子作りを始めました。

一応完成し山登りも友達の協力を得て無事達成できました。しかし本人はベルトがお尻や太ももに食い込み痛かったと言います。課題を残したまま医者となり目まぐるしく時が過ぎました。その後どうしても諦めきれずに2000年背負子研究を再開しました。それから15年が経ち、HIDAKAリーフキャリーが遂に完成しました。

2011年の東日本大震災での大津波をテレビで視てからは、背負子研究の方向が大きく変わりました。これまでは障害者の山登りでしたが、今は如何に多くの人々を素早く高台に安全に避難させるかを中心に考えています。

介護用のマットを利用して作り、できるだけ簡単に、1分以内に装着できるようにしました。80kgの男性も背負うことができました。

南海トラフの津波では32万人が犠牲になると予測されています。少子高齢化の日本を考えると、若い人々が多くの人々の救助に当たる中で結果として犠牲になることがあってはなりません。そのためには、できるだけ多くの高齢者や障害者を素早く避難させることが必要です。

そのために今回の背負子HIDAKAリーフキャリーを作りました。災害に強い地域づくりのお役に立てることを切に願っています。