15年前に往診先で出会いました。
師匠のおじさん宅で診察が終わった後、三味線を触っていると突然三味線の練習が始まりました。
高校2年の夏、学園祭に向けて1ヶ月間叔母から習ったことがありました。
その事もあり懐かしく三味線を触っていました。
その時「三味線を練習してみませんか」と早速「黒田節」の曲の練習が始まりました。
往診中であったため短時間でしたが教え方が大変上手で、すーっと入って来ました。
たまたま叔母から三味線を頂いたばかりだったこともあり、週1回午後6時からの練習が始まりました。
ある程度弾けるまでに3年かかりましたが、徐々に師匠と一緒に弾けるようになりました。
曲も少しずつ増え、敬老会に一緒に参加することが増えました。
13年間練習したところで新型コロナが拡大し、向き合っての練習を自粛することになりました。
コロナが落ち着いた時に2ヶ月程練習を再開しましたが、師匠の体調がすぐれずまた練習を休むことになりました。
週1回3時間35曲程練習して来ましたが、もうその様な練習ができなくなりました。
これまで普通に弾けていた多くの曲が霞んで行くように弾けなくなりました。
その後師匠の病が悪化し、何度も往診するようになりました。
「今日1時半過ぎに伺います」と電話をして訪問した日、待っていたかのように13時40分逝きました。84歳でした。
これまでの民謡など多くの曲は、自分の力で覚えたのではなく、師匠の三味線に支えられて弾いていたことに気づかされました。
コロナが落ち着いた後、また敬老会で皆に喜んでもらえるように、師匠から習った曲を、そして新しい曲を今度は自分の力で覚えて行こうと思います。
師匠! 頑張ります。見守って下さいね。