「病」より「人」を視つめるということとは何でしょうか。
どんな病状にあっても、その人や家族の人生を知る努力をし、考え方や価値観を尊重し、「その人らしく生きる」ことができる環境を作ることではないでしょうか。
つまり、その人の人生をサポートすること、その人が「自分らしく生きる」ことをサポートすることではないでしょうか。
「自分らしく生きる」と言うことは、自分の生き方、考え方が皆に認められると言うことです。「あなたは、あなたでいいんですよ」と認められることです。
自分らしく生きることができるケアをすることは、お互いの生き方、考え方、価値観を認め合うことから始まります。これは、すばらしいことです。
親子でも兄弟でも生き方、考え方、価値観が違います。社会一般となると、違いはもっと広がります。多種多様の価値観と能力が結合することにより、新しいものが生まれ社会が発展します。価値観の統合や拒否により、対立が生まれます。
「生まれたら必ず死ぬ」と言う極当たり前のサイクルの中で、生きるために、守るために、幸せになるために、発展するためにそれぞれが一生懸命考え行動した結果、それぞれの人生観、価値観、業績が生まれます。
違う人々が、ぶつかり合ったり、認め合ったりしながら一緒に生き、そして死んで行きます。極自然な流れです。
医者の家庭に双子で生まれ、進路に迷い、親とぶつかり、医者となり、父親となり、後継者となり、親を看取り、挫折し、また立ち上がり、いろんな人々の人生観や価値観の中を通り抜けて還暦が目の前になった今、これでいいんだ、今の自分でいいんだと思えるようになりました。
そして今、地域で「人生をサポートする医療」を続けています。人生最期のお世話をする私達は、これから何ができるのでしょうか。そして、私達は自分らしく生きているでしょうか。
これまでは病気を治す医療に力が注がれて来ました。超高齢化の時代となった現在、本人・家族の生き方や考え方を尊重して、人生をサポートする医療を進めていきたいと考えます。
必要に応じて往診を行う。在宅や診療所で対処できない時は速やかに病院に搬送し治療を行う。時には、本人・家族が希望する場所で、最期まで過ごせるように支援していく。地域の各医療機関と連携して、本人・家族を中心とした医療を進めていく。
本人及び家族にとって「あ~いい人生だった」と思えるように、医療面で支援していきたいと思います。