医療理念・方針

  • 「病」より「人」を視つめていく地域医療を進める
  • 患者さんや家族と同じ目線で話を良く聴く
  • 患者さんや家族の人生を知る努力をする
  • 患者さんや家族に分かり易い言葉で説明する
  • 患者さんや家族の考え方や価値観を尊重する
  • こだわりのない、柔軟性のある医療を提供する
  • 介護者の健康状態にも配慮する
  • 地域の人々との人間関係を大事にする

在宅医療の経験から人生をサポートする医療のあり方を考える

病気を治す医療から人生をサポートする医療に、今私達は進化しようとしている。

自分の人生に関る病気なのに難しい医療用語で説明されると、「高学歴のお医者さんの言うことだから…」と多くの患者さんや家族は判断を主治医に委ねていないだろうか。医師、患者、家族みんなが、病気を起こしている細胞レベルの世界に捕まってはいないだろうか。「生まれたら必ず死ぬ」と言う極当たり前の現実の中で起きている一事象であることを私達は理解しているだろうか。

患者さんが自分の人生如何に生きるかを考えていても、医師の一般的価値観に押し流されていないだろうか。患者が自分の価値観で決められる空気がそこにあるだろうか。生きて来た道程、これからの目標、価値観、家族構成、生活環境、経済力、年齢、体力、病状により選択肢は様々。

医師が病状と治療法、副作用を説明した後、「本当はどうしたいのですか」と本音を聞き出す場が必要だろう。説明力、理解力の問題と動揺、混乱もあるため、時間と場所を変えて再確認する必要があるだろう。その先に、本人の決断を尊重した「人生をサポートする医療」があるのではないだろうか。

しかし、多くの患者さんを診る医療現場での実現は困難。一医療機関でできる問題ではない。患者家族を中心とした数多くの病診連携により可能になるのではないだろうか。 このような医療を進めて行きたい。

地域医療の質の向上から宮崎の経済成長へ

宮崎の地域医療を充実させることは、宮崎の経済活性化に繋がると考えております。

少子高齢化、年金破綻、大地震、原発事故、大都市での孤独死など、高齢者にとって住み難い環境が増えつつあります。そんな中、東京などから親と一緒に宮崎に移住する家族が増えつつあります。

新しい医食住を求めて宮崎を選んでいるよう思われます。

  • 本人が望む生き方をサポートしてくれる医療
  • 安全で新鮮な食材
  • 暖かく明るく楽しく安全に、家族と一緒に住める住宅

を求めているようです。

宮崎の昭和40年代後半は、ハネムーンのメッカとして新婚旅行客で溢れた時期でした。その頃の人々は、今孫たちに囲まれる高齢者になっています。高度成長期の日本を支え、一生懸命働き、今はゆっくりと過ごしたい時期に入っています。しかし、その後の日本は大変なことになっています。昔は三世代一緒に過ごすことが多かったのですが、若者は都市へ流れて行き、残された高齢者は厳しい生活環境の中で老老介護を行っています。田舎だけでなく、大都市でも同じことが起きています。一年前の大震災と原発事故以来、高齢者だけでなくすべての人々が生活困難になっています。そのような状況下で、西へ南へと移住が始まっているようです。

今こそ、宮崎は医食住の面で頑張る時であり、安心して住める環境を提供する時だと思います。その一つとして私達医療人は、それぞれの人生をサポートする医療を提供する時だと思います。以前から行われて来た地域医療を更に充実させ、高齢者とその家族が安心して過ごせる地域を作る時が来たと思います。

一人の高齢者が必要に応じて在宅で医療を受け、宮崎で安心して豊かに生きることができれば、子供や孫たちが遠方から何度も宮崎を訪れ、宮崎の海や川、山で一緒に過ごすことが多くなると思います。人生の最期までお世話ができれば、宮崎での思い出は次の世代へと引き継がれ、思い出の地を求めて多くの人々が訪れるようになると思います。その結果、医食住を通して多くの仕事が生まれると思います。多くの仕事が生まれると若い人々が宮崎に定住し易くなり、宮崎で結婚し子供が生まれ、地域に子供の声が響くようになるでしょう。子供達が徐々に大きくなるにつれて地域はお祭りなどで賑やかになり始めるでしょう。賑やかになると、更に人々が集まるようになります。徐々に若い人々が増えるようになると、少子高齢化は少しずつ是正され結果的に宮崎の経済は活性化してと行くと思います。そのためには、必要に応じて往診・訪問診療を行い、在宅や診療所で対処できない時は速やかに病院に搬送し治療を行う、時には、本人・家族が希望する場所で、最期まで過ごせるように支援して行く、そのような病診連携と地域医療の質の向上が必要不可欠と思います。宮崎で余生を豊かに過ごすことができる環境が定着すると、そのノウハウは各地に波及し、徐々に都市の人口の分散化が始まり、地方の過疎化に歯止めがかかるのではないかと期待されます。全国的に人口が分散し、高齢者と共に生きる新しい日本が生まれます。そこには、今までにない新しい社会の仕組みができているでしょう。地方が豊かになるにつれ、一極集中型から地方分散型の災害に強い日本になると思います。

宮崎の地域医療の質の向上は、宮崎の経済の活性化に留まらず、新しい日本の仕組みを生み出すきっかけになるかも知れません。

医食住に関わるすべての人々の力を結集し、元気な宮崎を作りましょう。

そして、新しい日本を作りましょう

医療法人いなほ会
日高医院
院長 日高 四郎