お知らせ

家族が遠くなった看取り

2012年9月6日

いろんな事があったのでしょう。施設の職員が家族に電話をしても出なかったり、電話に出ても「もう連絡しないで下さい」、「もう関係ないです」…など返事は様々。本人は、衰弱してこれまでの経過を話す元気もなければ、記憶もないようだ。本人だけを見ていると、「家族なんだから最期の時ぐらい…」
と思ってしまう。 しかし、同じようなケースの家族の話を聞くと、「突然いなくなり他の人と一緒になった」、「多額の借金を家や土地を売って家族が返した」、「酒を飲んでいつも暴力を振るっていた」…などいろんな理由がある。
突然電話が掛かって来て「もう関係ありません」と答える家族にとっては、トラウマであり、もう忘れてしまいたい過去の出来事なのかも知れない。

「おくりびと」の映画で、父親が亡くなったと主人公が連絡を受けたときのシーンを思い出す。これまでの許すことのできない過去を思い出しながら、親と子の関係をどう決着つけるかみんな悩んでいる。

世の中の多くの問題は、片方だけから見たら何も理解できない。

最近、このようなケースに出会うことが多くなった。これからもますます増えるだろう。

家族から見れば、不公平だ、ずるいという気持ちになるかも知れないが、過去を知らない現場の私達は、本人との出会いを大事にして少しでも穏かに過ごせるようにこれからも対応して行くしかない。