お知らせ

似顔絵

2013年8月19日

子供の頃から絵を描くのが好きだった。今も変わらない。
勤務医だったころ、黙って車イスに座っている患者さんをよく見かけた。
その脇で看護師さん達が忙しそうにカルテに記録して行く。
そっと近づいて、黙って向き合ったまま似顔絵を描き始めた。
見つめる度に微笑む人、何だろうと不思議そうな顔をする人、全く変わらない人、様々だった。

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描き終わった後、似顔絵をそっと本人に見せると、緊張で固まっていた表情が穏やかな笑顔に変わって行く。
その時の空気、環境、本人の気持ちや人生を感じながら、僕の脳を経由して表現された似顔絵だ。写真ではない。15分から20分の間、人生からすると一瞬だが、一緒に向き合った時間がある。そして笑顔がある。

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あなたは似顔絵を見せてもずっと遠くを見ていましたね。
子供の頃のお父さんお母さんを思い出していたのですか。
静かに遠くを見ていましたね。

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あなたの笑顔は忘れられません。あれは回診の時でしたね。
頭まで被っていた布団から出てきた顔は、一瞬で皆を笑わせてくれました。
歯が数本しかない口を大きく開けて笑うあなたは、一瞬で皆を幸せにしてくれました。
あなたと向き合った時間は短かったけど、脳に焼き付いたあなたをどうしても描きたくて医局に戻って描きました。その絵を見た患者さんは、皆あなたに会いに行き大きな幸せを頂きましたよ。

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奥さんの往診に行った時のあなたの鼻の穴はとても大きかったですね。
眉毛もしっかりしていて目力もあり今のあなたをどうしても描きたくて手の平に描きました。

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あなたの往診ではなかったのにあなたが顔を出した途端、皆が和み、笑い、元気が出ました。
あなたは目力よりも眉毛の力があるようです。
あなたそのものが、皆を幸せにする存在なのですね。

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お疲れ様でした。船大工一本の人生でしたね。
優しい奥様に支えられて幸せそうでした。
いつも奥様を「バヤ~ン」と呼んでいましたね。
いろんな思いを廻らせながら、あなたは流れ星がたくさん降る夜に逝きました。
わすれませんよ。

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本の挿絵を頼まれたのは初めてでした。
自叙伝を書くので描いてくれと頼まれ、昔の資料を見ながら描きました。
随分勉強になりました。

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いつも親しく話していた薬屋さんの過去は、ツッパリ兄ちゃんでした。
その頃を想像しながら描いて行くうちにペンギンになってしまいました。

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いつも笑顔がすてきで優しい患者さん。
できるだけ少ない線で描きました。

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似顔絵の先輩が居ました。父です。
昭和の政治家の似顔絵が見つかりました。
遺伝するんですね。