お知らせ

宮崎から日本再生のビジョン

2014年1月4日

これからの世界情勢や日本の政治・経済を見るとあまり先行きが明るくないように思われます。日本の基本的な問題は、少子高齢化にあると思います。
そして、1964年の東京オリンピック以来の1,000兆円を越える日本の借金の問題があります。更に2011年の東日本大震災の問題があります。

このような中、これ以上借金を増やさないための緊縮財政と増税が進められ、社会保障費の改善はほとんど見られません。このような環境で数少ない若い人々が多くの高齢者の介護に当たっています。第1次ベビーブームや第2次ベビーブームの頃のような結婚、子育てができる環境がなくなりつつあります。

最近の出生人口は40才前後の第2次ベビーブームの人口の約半分になっています。これは、今後の日本の産業や高齢者を支える労働人口が更に減少すると言うことです。このまま行くと、これからの若い人々の個人負担が大きくなり、結婚、子育て、親の介護など余裕がなくなります。その結果、出生人口は更に減少し将来の高齢者の介護は更に厳しくなります。 つまり負の連鎖がすでに始まっているのです。このまま行くと、国の崩壊が現実になります。

日本各地で、日本の少子高齢化の問題が先取りするかのように顕在化しております。宮崎も例外ではありません。以前はハネムーンのメッカとして新婚旅行客で溢れていましたが、各観光地の低迷と若者の就職難で若い人々は中央に流れて行き少子高齢化が進んでおります。農業に関しては、後継者不足で現在の農業者平均年齢は69歳と聞いております。宮崎市内の農業者は70歳台から80歳台になっています。高齢者の皆さんは、子供達に迷惑をかけたくない、今の家で過ごしたい、子供達の居る他所には行きたくないと訴え、老老介護で頑張っています。

昭和33年に父が今の診療所を開業し地域医療を進めて来ました。そして、平成7年に父の地域医療をそのまま引き継ぐことになりました。子供の頃から父の地域医療を見てきて感じることがあります。 昔は在宅でできることは解熱剤やビタミン剤、ペニシリンの注射くらいでしたが、一緒に住んでいる家族が多く特別の医療行為をすることもなく自然体で豊かに看取られていたように思います。
現在は、在宅で点滴も酸素療法も胃瘻も吸引も人工呼吸も、病院とあまり変わらない内容を提供できるようになって来ました。医療内容やサービスが進んだ割には、昔のような豊かな看取りではなくなったように思われます。

医療が進んでも、優しさ、温もり、本人らしさ、死を受け入れる時間、家族への配慮など、父の頃の看取りからするとある意味後退しているように感じることがあります。父の頃の医療と比べものにならないほど高度の医療を受けているにもかかわらず、本人家族への十分な説明がなされなかったと在宅の現場で聞かされることが多くなりました。
その原因は、①高齢者が増えたこと②癌患者が増えたこと③医療が進むにつれて説明内容が多くなり、本人家族の意思確認が必要になったこと④本人家族にとって医療内容が難しくなって来たこと⑤医師が足りないこと⑥治す医療から看取りの医療への引継ぎがまだ完成していないことではないかと考えています。
以上のことから、現在の医療サービスと介護サービスだけに留まらず、父の頃の全人的医療を忘れないことで質の高い在宅医療が提供できるように心掛けております。

ここ数年、東京や大阪など大都市から宮崎に移住する人が増えて来ているようです。老後を宮崎で過ごしたいという方が多くなっているのではないでしょうか。新鮮で安全な食と暖かく空気のきれいな住環境を求めての移住でしょうか。これに本人が自分らしく生きることができる人生をサポートする医療が加われば、宮崎は高齢者にとって最も過ごし易い場所になるのではないかと思います。

経済的側面から見ると、宮崎に移住して頂くことはかなり大きな経済効果があると考えられます。国家予算は92兆円。税収は約40兆円。足りない分は毎年借金で賄われています。宮崎県の一般会計は、5,784億円です。
日本銀行資金循環統計によると高齢者の預貯金額は1,000兆円を越えるそうです。

これからの日本が再生するためには、少子化が続く負の連鎖を止めなければなりません。そのためには、若い人々が安定した仕事に就き、結婚して安心して子育てができる環境を作ることが最優先課題です。そのためには、国家予算をはるかにしのぐ高齢者の預貯金を動かす必要があります。
高齢者がなぜお金を貯めて使おうとしないのか。それは、社会保障費だけに頼れない不安と子供達への配慮があるようです。
高齢者が自分の人生を安心して自分らしく生き抜くことができる、そのようなサービスを提供できれば、流れは変わるかも知れません。

高齢者にとって必要なサービスは、医・食・住 だと考えます。

【医】

医療は高齢者にとって基本的な条件です。高齢者が求めている医療とは、医療技術だけではなく、本人の生き方に即した医療、本人の人生観や考えを基に柔軟に対応できる医療だと思います。死をも含めた医療、人生をサポートする医療。これを実現するためには、地域医療の質の向上が必要不可欠です。本人家族の意思を確認し適切に専門病院に紹介または救急搬送し、または本人の希望する環境で看取りまで行う、そのような医療サービスを提供することが必要と思います。

このような条件を満たすためには、各医療機関の充実と病診連携が重要です。そのためには、研修医が地元で医師として育ち地元に残るということが基本的に求められます。また、地元で研修できる環境整備や多くの救急患者を診る機会があり、各科に渡って勉強できる環境も必要です。更に地域医療を担える医師が増えることにより、医療過疎といわれる地域の医療の安定化に繋がり、老後を田舎でゆっくり過ごすことも可能になると思います。

もう一つ大事なことがあります。女性医師が増えて来たことです。喜ばしいことです。世の中の半分は女性であり、女性の立場から医療を行うことは当然必要なことです。しかし、女性医師が妊娠出産後も安心して仕事を続けられる環境が未完成だと感じています。看護師についても同じです。女性の医療関係者が母親になっても十分活躍できる環境をつくることが、これからの医療の質の向上と安定化に繋がります。そのようにならないと近い将来、医療現場は崩壊しかねません。

【食】

食は人が生きるために最も必要な条件です。生まれた時から人生の記憶の基礎になります。更に新しい味とおもてなし、出会い、感動、満足を求めて年を重ねて行きます。観光都市宮崎では、食の質にこだわる必要があります。

宮崎からの野菜や畜産関連の出荷額は日本トップクラスです。漁業に関しても豊かな漁獲量を認めております。宮崎の安心安全の食材に高齢者が食べ易い、飲み込み易い、調理し易いなどの付加価値(ソフトフーズ加工)を付けること、新鮮な魚貝類を磁気を使った急速冷凍CASで保存し常に新鮮な食材を提供できる仕組みを作ること、耕作放棄地を農地に復活させ味にこだわった米や野菜を増産し、食材の出荷先を国内だけに留めず海外にも輸出する流れを作ることが味わう食に留まらず宮崎の経済成長に繋がると考えます。

【住】

住まいは、自分が両親の元に生まれ家族としての生活が始まる時から係る重要な環境です。そして良くも悪くも多くの思い出を刻み込んだ住まいを後にして巣立って行きます。残された両親は子育ての思い出を大事にしつつも、自分達の老後や子供、孫達が帰って来ることを考えて新しい住まい作りを始めます。それが同じ場所であるか全く違う場所になるかは、それまでに住んでいた環境や経済力により判断は様々だと思います。地元にこだわらず新しい土地を考える人は、暖かく、安全で、水と空気が美味しくて、眺めが良くてなど、環境をまず考えると思います。

最近の住宅のエコ技術は、急速に進んでいます。太陽光発電、ガス発電・給湯暖房、究極の断熱構造、太陽熱床暖房、家屋内の空気の流れによる温度調整など。更に居住空間をみると、十分な耐震性、木の温もり、三世代同居に配慮した部屋の配置、介護し易いトイレやお風呂、車イスで移動可能な住宅用エレベーターなど、次の時代を見据えた設計になっています。

環境とエコから考えると、冬の日照時間の長い宮崎は高齢者にとって最適の場所ではないでしょうか。

これまで述べて来たことは、宮崎のコマーシャルではありません。
日本を救うためには、日本の少子化の負の連鎖をどうしても止める必要があります。そのためにはどうすれば良いのか。国にお願いすればよいのか。他の県にお願いすればよいのか。

色々考えた結果、負の連鎖の原因である高齢化をプラスに転用することが肝要だと気づきました。国家予算をはるかに凌ぐ高齢者の預貯金を使って日本を再生させる方向性です。そのためには、まず高齢者が納得して預貯金を使って頂く環境と医・食・住に関する質の高いサービスを提供しなければなりません。その条件を満たすことが必要です。 宮崎にその可能性があると感じました。

では、どうして宮崎が日本の再生に繋がるのでしょうか。
国の巨額の借金のために緊縮財政となり、日本全体が守りに入っています。
国内にお金があるのにお金が動きません。そのためにお金を生み出す国民が減少しつつあります。少子化の負の連鎖です。

宮崎の平均年収は363万円。東京の平均年収は599万円(宮崎は東京の約60%です)。

東京が経済の中心であることは間違いありません。若い人々が多いのも事実です。しかし、東京の人口ピラミッドをみるとまるでクリスマスツリーの様です。お金のある高齢者は東京を離れ、次の時代を担う子供の数は30代人口の半分以下です。東京では、少子化の負の連鎖を止めるどころか急速に進んでいます。

この負の連鎖を止めるには、地方のどこかが経済的活性化とともに突破口を開かなければなりません。それと共に、国をバックアップする場所になっていかなければなりません。

私達は1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災・原発事故を経験しました。その後、東海・東南海・南海地震がいっそう現実味を増しています。今の日本は地震・災害が来なくてもいずれ経済破綻する可能性が高い状況です。このまま何も準備しないまま大震災が起これば、確実に日本は崩壊します。

これを少しでも回避するために、都市人口の地方分散を早急に始めなければなりません。更に地震津波に強い地方づくり、自立再生可能な地方づくり、数多くの避難・移住を受け入れ可能な地方づくり、自前でエネルギー確保できる地方づくり、そして水や食料支援のできる地方づくりが必要となります。

そのためには、①少なくとも海抜20m以上の高台に重要施設を移転するなどの都市計画、②高台を通る高速道路など難民移動と支援物資搬送に必要な交通網の確保、③遠方から空輸されるけが人や病人を受け入れる空港隣接型の救急病院の建設など、ハード面とソフト面の対策を早急に実行する必要があります。

今の国にお願いしてできる問題ではありません。これを実行するためには、大きな経済的流れを作り、その中に防災計画を組み込む形で進めなければなりません。大きなお金の流れが必要です。この流れが始まると、一地方に納まる問題ではありません。日本全体の地方に波及する効果を生むと考えます。

自分達で始めなければなりません。政治家には頼れません。国民が一致団結して、知恵を出し合って進めて行かなければ日本を救えません。

1,000兆円を越える高齢者の預貯金を何とか動かさなければなりません。
それを宮崎から始めようと考えております。 日本再生のために。